被虐の姫 |
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城の大広間で、王は敵国の王の玉座に座っていた。こうして倒した敵の玉座に座り、落とした敵の城で戦勝の宴を催すほどの楽しみは無い。ただ、あまりに簡単に勝ってしまった今回の戦の後では、戦勝の宴も盛り上がりに欠けるというものだ。
王は玉座にゆったりと座ると、横に控えた側近に小声で呟いた。 「姫はまだ見つからぬのか。」 側近はひれ伏すように頭を垂れて答えた。 「城も城下も考えられるかぎり探しております。見つかるのも時間の問題でしょう。」 王はあいまいに鼻を鳴らすと側近に言った。 「王も妃も処刑した。後は姫だけじゃ。さっさと捕まえて余の元へ連れてまいれ。酒がまずうなるわ!」 「ははぁ・・・」 側近は返事をすると、捜索の兵を増やし早く姫を捕まえてくるように部下へと命令した。 祝勝の舞台に一人の踊り女が登場した。踊り女はエキゾチックな衣装に赤いベールで顔を隠していた。女は静かに腰に刺した短剣を手に取ると、剣舞を舞いだした。酔った兵隊たちは大いに盛り上がり踊り女を囃し立てた。踊り女はしだいに動きが大きくなり、今や舞台狭しと舞い踊っている。 それは踊り女が玉座へと上がる短い階段の下に来た時だった。女は、興が乗って赤ら顔をほころばせた王の元へ階段を一気に駆け上がった。 女が王へと短剣を突き上げるより早く、王は脇に置いた剣を抜いて女を斬りつけた。女は剣を肩に受け怯んだかに見えたが、次の瞬間、女は王の太った腹へと力一杯短剣を突き立てた。 “ドスッ!” 確かな手ごたえを感じ、女は突き刺した短剣でさらにはらわたを掻き回した。 しかし、それは奇妙な手ごたえだった。まるで生ゴムのように弾力が短剣を押し戻す。その時、女の上から声がした。 「女、それで終わりか?」 驚くように仰け反った女を、慌てて駆け寄った兵隊たちが取り押さえる。 「ワッハッハッ!なかなか面白い余興だったぞ。だが残念だったな。余の体は魔術によって強化されている。その程度に短剣では余の体には傷ひとつ付けることはできんのだ!」 王は何の痛手も無いように豪快に笑った。 兵隊が、取り押さえた踊り女の赤いベールを剥ぎ取ると、美しい白い肌の少女の顔が現れた。その顔を見た側近は王へと耳打ちした。 「あれは・・・姫でございます。」 王も驚いて小声で言った。 「本当か?!」 側近は答えた。 「はい。間違いありません。姫は踊り女に化けて王に近づく機会を狙っていたのでしょう。」 側近が王に耳打ちするのを見て、姫は素性がばれたことを悟った。父と母の仇を打つ機会は逸してしまった。王は父や母と同様に姫である自分も断頭台で首を落とすつもりだろうと思った。だが王の反応は予期せぬものだった。 王はいやらしく片方の口元を上げて笑った。 「踊り女よ。そなたがなぜ余を打とうとしたのかは知らん。ここでそなたの首をはねても良いのじゃが宴は始まったばかりじゃ、せっかくの舞台を血で汚すのも興が醒めるというものじゃ。」 王はそう言って舐めるように姫の足元から頭までを見回した。 「そなたも踊り女なら、もう一度踊るが良かろう。ただし剣は無しでな。」 そして王は側近へと何やら耳打ちした。 姫は上着を剥ぎ取られた。後には肌もあらわな衣装しか残っていなかった。姫はこのような恰好を大勢の兵隊たちに見られる事に堪えられなかった。いっそ舌を噛んで死のうか・・・・しかし生きてさえいれば、いつか父と母の仇を打つ機会が訪れるかもしれない。今の姫は一縷の望みにすがりつくしかなかった。 肌を覆うものも僅かな踊り女の衣装で立ち尽くす姫へと歪んだ顔の小男が近づく。 小男は気持ち悪い笑顔で、濁った液体がなみなみと注がれた器を姫に渡して言った。 「女よ、この酒を飲むがいい。」 姫は器を手にとると、王を鋭い目で睨みつけた。王は言った。 「安心せい。毒など入っておらん、ただの酒じゃ。しらふではそのような姿で踊れまい?」 そして王は憐れむような目で姫を見た。 (王はわたしが姫だと知っているに違いない。それでいて気付かないふりをして、こんな恰好で踊らせることを楽しんでいるのだ。) しかし、それが判ったとしても姫に選択肢はなかった。姫はその酒を一気に飲み干した。 それは強い酒だった。まるで咽が焼けるように熱い。 姫は短剣を持たぬまま、剣舞を舞い始めた。強い酒のせいかすぐに目が回るような感覚に襲われた。頭も霧がかかったようにぼやけてくる。それでいて頭の片隅では冷静な自分がいた。それはいままで経験したことがない、何とも不思議な感覚だった。 姫の踊りは次第に大胆になっていく。まるで体が自分のものでないかのように、意識に反し勝手に踊っているようだ。 まわりを取り囲むように座り酒を飲みかわす兵隊たちは、それが姫だとは知らず手をたたいて喜び囃し立てた。すると姫の体も熱く火照り、踊りはさらに激しく大胆になっていく。 (わたしどうしてしまったの?まるで体が勝手に踊っているよう・・・) 兵隊たちが焦れたように、なにかを叫びはじめた。最初は歓声の中で何を言っているのか判らなかったが、次第にその声は大きく広がり、姫の耳にもとどいてきた。 (そ、そんな・・・) 男たちは、ただでさえ隠すところの少ない服を、さらに脱げと言っているのだ。 (そんなこと・・・できるはずが・・・) だが、驚いたことに姫の手は男たちの欲求に応えるべく、背中へと伸びていった。 姫はその時初めて、自分が騙されたことに気づいた。さっき飲まされたのは酒ではなく、魔法の薬だったに違いない。 しかし今ごろ気付いてももう遅かった。姫はみずからの手で革でできた胸当てを取り、欲望もあらわに見つめる男たちへと、小さな幼い胸をさらけ出していた。 男たちはそんな姫に喝采を贈った。すると姫の体には、さらに熱いものが込み上げてきて、嫌がる姫の意識とは裏腹に、姫の手は今まで知らなかった快感を貪るように、男たちの前で幼い胸を揉みしだき始める。 (ああぁ・・・だめぇ・・・!) そのえも言われぬ快感は姫の脳天を突き抜けた。頭は思考を失い、姫の体は世俗的な性の欲望へと身をゆだねていく。 姫の手は自然に下半身へと伸び、僅かに隠した陰部を指でまさぐった。 (あぁっ・・・!) 固く凝った秘蕾に指がふれた途端、姫は背中を弓なりに仰け反らせ、力なく開いた口から大きな喘ぎを漏らした。 その様子はさらに男たちを興奮させた。男たちの歓声は熱さを増し、姫への欲望に目を血走らせる。そんな男たちを見ると、姫はさらに男たちを刺激するかのように、体をくねらせ自らの欲求に身をゆだねていった。 もう姫を止めるものは何も無かった。姫は股間を隠す小さな革のパンツをも取り去り、体液に光る秘所を男たちに見せつけた。 “おおおう” 男たちのくぐもった感嘆の響きに、姫は自らの指で秘弁を押し開き、きつく締まった小さな秘穴をくつろげては髪を振り乱し快感に身を震わせた。 「イッヒッヒッヒ・・・王様、姫はもうすっかり快感に身をゆだねております。」 「うむ。」 魔術師の言葉に、王は満足そうに頷いた。 「ですが、今ならまだ元の姫に戻すことも出来ます。いかが致しましょう?」 王は大広間の中央で兵士たちに囲まれて、股間をまさぐり胸を揉みしだきながら喘ぐ姫の姿を見て、うんざりしたように言った。 「何と厭らしく浅ましい娘だ。あのような者が姫であるはずがなかろう。余は疲れた、先に休むぞ。後は兵士どもに好きなようにさせるが良い。」 そう言うと王は玉座を降りお付きの者を引き連れて王の好みに設えた寝室へと戻って行った。 「さあ女、これを飲むがいい。」 そう言って魔術師は火照った姫の体へと新たな薬を流し込んだ。すると薄れていた意識が次第に形をとってきた。 (な、なにこれ?!) 姫は知らぬ間に真っ裸になっている自分を見て狼狽えた。しかし相変わらず体は姫の自由にはならなかった。姫の体は、男たちの前でだらしなく股を開き股間から厭らしい汁を溢れさせていた。 (あぁ・・・どうなってるの・・・) 喋ろうとしても言葉が出なかった。姫の体は相変わらず、蘇った意識とは関係なしに焦れたように秘穴を指でまさぐり、口からは動物のような呻き声を漏らしていた。 魔術師は姫の耳もとで囁いた。 「イッヒッヒ・・・姫様。これから最後の仕上げです。これが終ればあなたはもう姫ではなく、ただの淫乱な娘です。でも安心してください。姫様の心はずっと消えることはありませんから。」 (・・・・・?) 「あなたはずっと姫の心を持ったまま、淫乱な娘に成り果てていくご自身を見ることが出来るのです。」 そう言うと魔術師は厭らしい笑みを漏らした。 (・・・いや・・・!・・・そんなの見たくない!わたしの意識も壊して!!!) しかし姫の叫びは、やはり声にはならなかった。 「さあ、お前たち。王様からの許しが出た!この娘はお前たちの自由にしてよいぞ!イッヒッヒ・・・」 “うおおおぉ!” 兵士たちは歓声とも叫びともつかない声をあげると、姫のまだ幼さの残る白い裸体へと我先に襲いかかっていった。 |
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